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農業分野参入を促進するため、県内企業の農業参入の事例として、建設業から農業参入をはたし、農林水産省の事例としても紹介されている土屋建設(株)(静岡県伊豆の国市)を招聘し、農業分野参入にいたった経緯や、苦労話、今後についてなど、実際の経験を基に発表いただきました。
土屋建設様は昭和6年創業。売上高33億円、職員数78名。地元では古くから親しまれている建設会社です。バブル期の民間投資拡大に乗じて昭和59年施設型農業に参入しました。メロンとしいたけの温室栽培を始めるも、管理能力不足でメロン栽培は上手くいかず、しいたけも輸入自由化のあおりを受け低価格化。事業として軌道に乗らず、本業が忙しすぎたこともありすぐに撤退してしまったとのこと。
以降本業と、農業参入への再チャレンジを検討している中で、平成21年の政権交代時による公共事業の大幅削減があり、会社や地域、従業員を守るため、再度農業参入を検討されました。
その後、当時の東部農林事務所長の後押しもあり、【地域の土地活用(耕作放棄地の解消)】【雇用の継続(本業の激減対策)】【地産地消,地域循環】の3本柱をかかげ再参入をはたしました。
土屋建設様は1度農業参入に失敗したのにもかかわらず、雇用の継続や事業の拡大など自社のためだけではなく、地域農業の促進や活性化等高尚な心持で再参入をはたしていらっしゃいます。建設業として先駆的に農業参入をはたしただけではなく、地域貢献にも積極的な姿は参加者にも大いに参考になったとかと思います。
企業の農業参入が国としても促進される中、簡単にはいかない現状ですが、単純な売上・利益拡大の目的だけではなく、地域の社会に大きく貢献できる。それが農業参入なのだと感じさせられました。
はままつアグリテック推進プロジェクトの事業として、浜松地域のアグリテックに対する先進的な取り組み事例と、だれでも活用可能、身近なIT・IoT活用術について各講師より紹介いただきました。併せて「アグリテック実証サポート事業」について説明を行いました。
※オンラインと会場によるハイブリッド形式のセミナーとさせていただきました
基調講演として、農商工連携研究会会員の㈱ホットファーム 代表取締役志賀口氏より「農副連携による遠隔地のハウス環境の制御システム」と題して講演いただきました。ホットファーム社では、福祉と産業の連携したビジネスモデルを目指し、自身が経営する社会福祉法人の入居所(障がい者)に働き口として農業を紹介。作業場やハウス内は定位置管理の実施、工程表に沿った作業の実施など、所謂5Sを実施し、誰でも働ける職場環境を整える。
また、ハウス内は温湿度を常に測定し環境データとしてクラウドへ保存。蓄積された平均気温を自動でグラフ化することで、収穫日の予測を可能にしているとのこと。(育苗から約90日で収穫可能とのこと)。
昨年にはものづくり補助金を活用し、離れたハウスをカメラで監視し、管理者が各ハウスへリモートによる作業指示や状況把握を可能にしたとのことです。
基調講演後、身近なIT・IoT活用術としてアグリテックの取り組みに協力いただいている、中小企業診断士の名倉氏と酒井氏にそれぞれ事例発表いただきました。
名倉氏からは、昨年アグリテックの取り組みとして実施したまるたか農園での「IoTはかりによる生産性向上」について紹介いただき、酒井氏からは自身が開発した「誤差のない温湿度測定器」について紹介いただきました。
身近なIT・IoT活用術の事例発表後、本年度アグリテックプロジェクトの取り組みとして実施する「アグリテック実証サポート事業」について事務局より参加者へ内容を説明。本事業への応募と、知り合い、関係各所への周知を依頼。本事業について多くの方にご利用いただければと思います。
はままつアグリテック推進プロジェクトの2020年度事例発表会をオンラインで開催しました。
まず初めに8月より実証事業として取り組んだ「IoTはかりによる計測作業効率化と収穫データの見える化」について実施先である「まるたか農園 鈴木崇司氏」と実証事業者である「名倉IT経営研究所 名倉真史氏」に取り組み内容について、経緯・効果・今後の展開等について発表いただきました。
鈴木崇司氏からは、潜在ニーズとしてあった「ミニトマトの選果計量の自動化」についてアグリテックプロジェクトで取り組んだことによって、当該問題を解決しただけはなく、普段の作業を行う上での問題等について、従業員と話す機会が増え関係性が向上したり、「選果」という1つの工程に対して見直す切っ掛けができたり等の相乗効果もあり、取り組んで良かったと発表いただきました。数値的算出についても、ストラック表を用いて、経営改善・作業効率向上に資する取り組みであったとのことです。
名倉真史氏からは、前置きとして、農業者や中小規模事業者になぜIoTが普及していないか、そもそもAIやIoTの違いは何かということを説明いただいた後、今回の実証事業内容について、システム・効果・コスト等について詳細に発表いただきました。農業・中小製造業へIoT導入が進まない理由の1つに、コストの問題がよく挙げられるが、今回の取組でかかった費用はIoT計り一式で約5万円(人件費は除く)と安価である。身の丈にあったIT活用が重要であるとのことだそうです。
今回の取り組みは、まるたか農園様がかかえる潜在ニーズに対して、アグリテック事業がどのような効果をもたらすかを可視化し、よく理解していただいた上で実施したことが本結果に繋がったと思います。今後も農業者に対して、アグリテックの取り組みに理解を得ていただくためには、コストがいくらかかり、どのような効果が得られるかを説明した寄り添った支援が必要であると感じています。そして、アグリテックプロジェクトの取り組みを経て、実証事業に取り組まれた農業者には経営的視点を持っていただき、浜松地域のアグリテック・スマート農業を波及する存在になっていただきたいと思います!
まるたか農園様の事例発表後、「㈱ソミックマネージメントホールディングス 長坂智氏」に資材運搬ロボット「SUPPOT」について、「京丸園㈱ 鈴木厚志氏、川口久寿氏」に「京丸園が取り組むアグリテック」についてそれぞれ発表いただきました。いずれも先進的な事業・取り組み内容であり聴講者にとっては大いに参考になったと思います。
ご対応・ご出席いただいた皆様お忙しい中本当にありがとうございました。
6次産業化をテーマに「売れるためのデザイン」について学ぶため、農業分野専門のデザイン事務所「貼雑(はりまぜ)デザイン事務所 代表 角田誠氏」に講演いただきました。
農家が商品開発を行う際に、品質や味に拘って作った野菜を原料に商品開発を行うものの売れ行きが悪く、より品質や味に拘った野菜を作ってまた売れないという陥りがちな悪い事例として、「良いものを作りたい負のスパイラル」の話がありました。講演の中で角田氏は、「厳しい言い方をすれば、拘りを持って商品を作るのは当たり前で、いかに消費者に届かせられるかが重要であり、農業を始めてまもないベンチャー企業等が成功しているのは、このプロモーション力に長けているからだ」とのこと。
会場では角田氏が手掛けた商品を、開発から販売に至るまでを実際の商品パッケージを使ったビフォーアフターで非常に分かり易くご説明いただき、単に理論だけの話ではなく参加者も理解が深まったようでした。
セミナー中盤以降は角田氏が実際に使用している「デザイン開発シート」を活用し、自社(商品)のロゴやパッケージ等について制作してみるワークショップを行いました。併せて「ロゴ」と「パッケージデザイン」についての違いや、それらの活用方法等についても学びました。
講演終了後は、現在使用しているパッケージやロゴについてアドバイスいただく個別相談を実施しました。参考になる具体的なアドバイスをいただけたようで満足度も高かった状況です。
本セミナーは農業関係者、農業ビジネス参入企業を対象にマーケットイン、プロダクトアウトの考えのもと、消費者ニーズのある製品を作る顧客ありきの販売戦略が重要ということで、内容を農業向けにアレンジし分かり易くかつ具体的にお話いただきました。一方でこの考え方は農業分野だけではなく、新商品開発や新規事業参入という観点からも有効で、市場動向を予測し入念な準備の下実施していく様はモノづくり企業にも大変参考になったと感じます。
浜松商工会議所アグリテック推進プロジェクトでは、農業分野に製造業の知見や技術を取り入れることで、浜松地域の農業のアグリテックを促進する支援をしています。そのような中で、先ず浜松地域の農業現場の課題や農家の皆様のニーズ把握のため、様々な農家様・農業現場を訪問し情報収集、勉強させていただいております。
今回は農林水産業を活用して地域福祉に貢献するために、複数の視点から事業を展開していく様に努めている「ホットファーム(株)」様に訪問しました。
ホットファーム様では「アップルスタートマト」という一般的なトマトと高糖度トマトの中間ぐらいの甘味と酸味で、非常に食味の良いトマトをブランド化し農協や市場を通さず地元スーパー等へ直販しています。
農福連携の分野にも積極的に取り組んでおられ、障がい者の方なども働きやすい職場環境を作っておられます。
アグリテックの分野では市販の業務改善プラットフォームを活用し独自の業務改善アプリを開発・運用しているということで、蓄積した気温や室温、収穫量等のデータを可視化し、繁忙期の事前準備が可能となったそうです。
また出荷する商品として袋詰めとパック詰めの商品がほぼ同数だったが、袋詰めの方が作業時間を要していることが実際の出荷量データを見て気づき、パック詰め商品中心にシフトすることで作業効率を上げ、利益確保につなげることができたとのこと。
「ホットファーム(株)」様は農副連携を推進するとともに、様々なモノづくりの知見を農業分野に取り入れておられ、今後の浜松地域の農業を引っ張っていただける、そんな印象を受けました。
ハウスの説明をしていただいている志賀口代表(写真左)
関連リンク
ホットファーム(株):http://www.hot-farm.net/